ビットコイン9万ドルで安定、12月利下げは「織り込み済み」 – 流動性枯渇で年末相場はどうなる?

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QCPキャピタルは市場参加者の激減を指摘。ポリマーケットでは「緩やかな緩和ペース」が予測されており、焦点はFRBのガイダンスと各国中銀の動向に移っている。


要点(What to know)
  • 9万ドルでの膠着: 年末特有の流動性低下により、ビットコインは9万ドル付近でボラティリティを含みつつもレンジ相場が続いている。
  • 利下げ織り込み済み: トレーダーはFRBによる「緩やかな緩和」を予想しており、実際の利下げそのものよりも、今後のガイダンス(指針)に注目している。
  • マクロ要因の影響: 世界市場の動きは、各国中央銀行の政策の乖離とマクロ経済シグナルに左右されている。

ビットコイン(BTC)は、週末に鋭いものの短命に終わった変動を見せた後、9万ドル付近を推移している。この動きは、年末に向けて市場の流動性がどれほど薄くなっているかを露呈する形となった。

流動性の低下と市場の膠着

QCPキャピタルは最新のメモで、ビットコインとイーサリアム(ETH)の無期限先物における未決済建玉(OI)が、10月以降ほぼ半減していると指摘した。これは、市場が方向性のあるトレード(大口の売り買い)を吸収する能力が著しく弱まっていることを意味する。

一方、予測市場ポリマーケット(Polymarket)のオッズによると、トレーダーは今週の「25ベーシスポイント(bp)の利下げ」をすでに織り込んでおり、1月は「利下げ休止」に傾いている。これは投資家が、急速な利下げサイクルではなく「緩やかな緩和パス」を予想していることを示唆している。

これらを組み合わせると、ビットコインがレンジ相場にとどまっている理由(市場活動の欠如)と、今後の大きな値動きは金利決定そのものよりも「ガイダンスのサプライズ」から生じる可能性が高い理由が説明できる。

各国中央銀行の政策乖離と市場構造の改善

OKXシンガポールのCEO、グレイシー・リン(Gracie Lin)氏はCoinDeskのインタビューで次のように語った。

「FRBの利下げは見出しになるかもしれませんが、より重要な変化は主要中央銀行間での政策シグナルの乖離が拡大していることです。BOE(英中銀)は意見が割れ、ECB(欧州中銀)は現状維持、BOJ(日銀)は2007年以来の水準での引き締めを準備しており、これらすべてがアジア主要経済圏の摩擦増大を背景に起きています」

またリン氏は、最近のレバレッジ解消によって過密なトレードが一掃され、市場構造が改善したとも指摘する。このリセットにより、無理なフローなしに価格が動く余地が生まれ、マクロシグナルへの調整が進む中でビットコインは9万1000ドル付近へ戻すことができたという。

これらすべての要素は、トレーダーの関心が「すでに織り込み済みの利下げ」ではなく、「FRBのガイダンスをどう解釈するか」や「広範な政策の分裂」に向かう市場環境を整えている。

市場の動き(Market Movement)

  • BTC: 月曜日のビットコインは、週末の一時的な反発を打ち消す形で9万ドルに向けて下落した。債券利回りの上昇と株式市場の軟調さがリスク資産を圧迫し、市場は狭いレンジから抜け出せずにいる。
  • ETH: 市場全体の下落に伴いわずかに値を下げたが、相対的にはアウトパフォームを続けており、対ビットコイン価格では一時1ヶ月ぶりの高水準に達した。
  • ゴールド: FRBの政策会合を控え、トレーダーが慎重姿勢を維持したため月曜日は小幅安となった。市場は利下げの可能性を高く織り込み、パウエル議長のガイダンス待ちとなっている。
  • 日経平均: 火曜日のアジア太平洋株は下落して始まった。投資家は広く予想される25bpの利下げを前に慎重姿勢を崩さず、ウォール街の下落に追随した。

編集部の考察:「織り込み済み」の恐怖とチャンス

「噂で買って事実で売る(Buy the rumor, sell the fact)」という格言がありますが、今回のFRB利下げはまさにその典型例になりそうです。

市場はすでに25bpの利下げを100%近く確信しています。つまり、「利下げ発表」そのものでは価格は上がらない(むしろ事実確定で売られる)可能性が高いということです。

  • 薄い板(Order Book)に注意: 記事にある通り、年末で流動性が枯渇しています。これは「少額の注文でも価格が飛びやすい」ことを意味します。パウエル議長の発言一つで、上下に大きなヒゲをつける乱高下が予想されるため、高レバレッジの取引は極めて危険です。
  • 次の焦点は1月: 市場の関心はすでに「1月は利下げスキップか?」に移っています。もし今回の会合で「1月も利下げする」ようなハト派的な示唆が出れば、それがポジティブサプライズ(上昇要因)になるでしょう。

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