昨日、アマゾン（Amazon）の巨額投資発表を受けてリスク資産市場は上昇したが、エヌビディア（Nvidia）株の急な動揺がこれに冷や水を浴びせている。暗号資産（仮想通貨）市場を押し上げてきた「AIとBTCの連動トレード」が再び精査されている。
- AI投資の余波： アマゾンによるAIおよびスパコン・インフラへの500億ドル（約7.6兆円）規模の投資は当初、市場センチメントを押し上げたが、エヌビディア株の下落により抵抗に直面している。
- ビットコインの停滞： ビットコイン（BTC）価格は安定しているものの勢いに欠ける。市場の不確実性が高まる中、流動性はソラナ（Solana）やイーサリアム（Ethereum）などの資産へシフトしている。
- ゴールド上昇： FRB（米連邦準備制度理事会）理事が12月の利下げを支持する発言をしたことを受け、金価格が上昇。金利を生まない資産としての魅力が相対的に高まった。
米国時間の月曜日、アマゾンが米国のAIおよびスーパーコンピューティング・インフラに対して500億ドルを投じると発表したことで市場には楽観ムードが広がったが、その勢いはすでに抵抗に直面している。
2025年の大半において、暗号資産はインフレヘッジとしてではなく、変動率の高い「AI関連株の代替資産（プロキシ）」のような動きを見せてきた。そのため、アマゾンの500億ドルのコミットメントは、特にAIインフラへと事業転換を進めるマイニング企業にとって強力な追い風となった。しかし火曜日、エヌビディア株が6%下落したことで、この投資シナリオのもろさが露呈した。
もしAI関連セクターが足場を固められなければ、これまでビットコインや成長トークンに資金を呼び戻していた「連動性」も崩れる可能性がある。そうなれば、市場は主要なマクロ経済的な追い風を失うことになる。
マーケットメイカーのEnfluxはCoinDeskへのメモで次のように述べている。
「エヌビディアが安定するまで、たとえオンチェーンデータが改善しても、ビットコインの上値はリスク許容度の制約によって抑えられるでしょう。AI株式が動揺すると、2025年に暗号資産を支えてきた数少ない『長期的成長テーマとの相関』が失われてしまいます」
市場のポジショニングもこれに反応している。リスクオフの空気の中でも、ビットコインはドミナンス（市場占有率）を高める買いを集めることができていない。代わりに資金は、ソラナ、ETH、DePIN（分散型物理インフラ）、GPUコンピューティング、トークン化（RWA）といった、より明確な材料（カタリスト）を持つ特定のテーマへと分散している。
「恐怖サイクルにおいて通常見られるようなビットコイン・ドミナンスの急上昇は起きていません。代わりに、流動性はソラナやETHへと分散しています」とEnfluxは指摘する。
アジア時間の取引は今後、AI関連銘柄が落ち着きを取り戻せるかどうかにかかっている。エヌビディアが安定すれば、成長株との連動性が再び強まるかもしれない。そうでなければ、今年初めに資金を呼び込んだ「ベータ値（連動性）のブースト」なしに、暗号資産市場は独力で立ち回る必要に迫られるだろう。
市場の動き
- BTC： 月曜日のAI主導の反発を経て8万7000ドル台後半で推移しているが、広範なリスク回避の動きの中で、意味のあるモメンタムや「安全資産としての買い」を集めるには至っていない。
- ETH： 資金のローテーションに伴いじり高となっており、2900ドル台半ばを維持している。ビットコインが失速する中、トレーダーはより明確な材料のある資産を選好している。
- ゴールド： クリストファー・ウォラーFRB理事が12月の利下げを支持したことを受け、火曜日の早朝取引で約1%上昇し、4100ドルを超えた。低金利観測が、金利を生まないゴールドの魅力を高めている。
- 日経平均： 水曜日のアジア太平洋市場は上昇して始まった。日経平均株価とTOPIXは0.9%上昇し、トレーダーはウォール街の上昇と12月利下げへの期待を織り込んでいる。
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